短い実話の怪談話をいくつか紹介

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短い実話の怪談話をいくつか紹介


知らない声

夏が終わりかけたある昼下がり。
Aさんが庭で弟のケンジと遊ぶのに飽きて、部屋に戻った時でした。
家中に響く大声がしたのです。
「ケンジがマムシに噛まれた!」
お母さんの声だ!
ビックリしたAさんが庭に出ると、弟がいません。
そこへ、お父さん、お母さん、祖父母もすぐ言えから出てきました。
マムシに噛まれた!?
ケンジはどこ?どこよ!?
と、お母さんは痛いほどAさんの肩をつかみました。

えっ?どこって、お母さんが知ってるんでしょ?
何言ってるの!あんたが叫んだんでしょ!
マムシに噛まれたんじゃない?
早くしないと毒が!

そこへお父さんが、いたぞ!!という声を上げて、家の裏から弟を抱きかかえて出てきました。
母さん早く、車を出して!医者だ!

手当てが早かったので、弟は一命をとりとめました。
どうやら、家の裏に積み上げてある薪の側で遊んでいて、指を噛まれたようでした。
その騒ぎがようやく落ち着くと、Aさんは家族みんなから、お前のお陰で助かった、良くやった、と誉められたのですが、何のことだかさっぱりわからない。

ケンジのことを教えてくれたのは、お母さんでしょ?と言うと、何言ってるの?あの大声があんたのでなければ誰の声なのよ?と言い返されたのです。

しかしAさんは、声など出していないし、聞いた声は、間違いなくお母さんの声でした。
たとえ間違いだとしても、女の人の声というのは確かだ。
しかしそれがいったい誰なのかさっぱり思い当たらなかったという・・・。


重箱

Bさんおお母さんが、子供だった頃の話です。

自分の家だけそうだったのか、住んでいた村がそうだったのか、よくわからないそうですが。

お母さんの家では、正月になると必ずお父さんが重箱のふたを取って、一の重、二の重とひろげるのだそうです。

重箱は五段重ねでしたが、必ず四段目が空になっていたそうです。
四の重は無い、つまり、死なない、という縁起をかついだものだと教えてもらったといいます。

更に、その重箱をひろげるのは家長の役割で、家族の誰もそれをやってはならなかったという。

お母さんが小学校3、4年生の頃のお正月。
お腹がすいたので、つまみ食いをしようと、こっそりお重を広げた時。
四の重の底に、三年前に亡くなったおばあちゃんの顔がうっすらと映り込んでいる。
それも、つまみ食いをとがめているのか、ものすごく怒った顔で。
びっくりして、周りを見渡したが、部屋には自分一人だけ。
しかし、お重の底をもう一度見ると、もっと怒ったような顔になっていたので、慌ててお重を元に戻した。

それからは、二度とお正月にお重を勝手に触らないようになったのだという。

お母さんが、四つ目の重を「四の重」では縁起が悪いので「与の重」と呼び、五の重の方を空にするということを知ったのは、Bさんのお父さんの家に嫁いでからだという。


犬の耳

Cさんの家では、立派な紀州犬を飼っていました。
気性が荒く丈夫で、体も大きく牙を鋭いので、猪狩りの猟犬として飼っていたのです。

さらにこの犬は、猪の耳を噛み千切って、暴れまわる猪を大人しくさせることを得意としていたといいます。

ある日のこと。
この紀州犬が、鎖を繋げていた杭を引き抜いて脱走したのです。
近所でも有名な犬だっただけに、すぐに近くの家から連絡が入りました。
そのお宅に駆けつけてみると、この家の庭で飼っている犬の右耳を噛み千切り、その血が飛び散った中で、堂々と昼寝をしていたのです。

平謝りをして、相当の対応をすることで何とか、警察や保健所のご厄介になることだけは免れました。

ところが少しして、この犬の右耳に血がたまり始めたのです。
獣医に連れて行っても、傷も無いのになぜこんなに血がたまってパンパンい腫れあがっていくのかさっぱりわからない、といわれました。

それで、右耳に血がたまる度に注射器で抜いてもらうという治療を繰り返すことになったというのです。

やがてみみは治療のかいなく壊死してしまい、切断を余儀なくされてしまいました。

耳がなくなった後、その紀州犬は驚くほど臆病になってしまい、猟の役には立たなくなったという。


Categories: 興味深い話

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