砂糖はいつからあるのか、サトウキビと砂糖の栽培の歴史

砂糖菓子の画像

砂糖はいつからあるのか、サトウキビと砂糖の栽培の歴史


サトウキビから甘い汁を搾り出し、砂糖の結晶へと変えるプロセスは複雑です。

サトウキビの汁が、いつ、どこで、最初に長期保存が可能なかたちに変えられたかですが、歴史学者のほとんどは、約2500年前の東インドで始まったと考えています。
そのおもな根拠となっているのは、インドの古い書物の多くでサトウキビとその甘い汁について言及されていることです。
紀元前400~200年の間に書かれたと推定される、パタンジャリによるサンスクリット文法の解説書には、ライスプディングやひき割り大麦など、いずれもなんらかの種類の砂糖で甘みが加えられているレシピが記されています。

古典アルタシャーストラは紀元前4世紀後半のものとされますが、そこにも砂糖についての記述があります。
ここではグダからカンダ、そして最も純度の高いサルカラまで、3種類の砂糖について説明されています。
昔のサルカラは、現在でもまだ使われているヤシ糖というインドの甘味料に似ています。


初期の砂糖は、石の車輪のついた圧搾機を家畜の力で動かし、サトウキビの茎を砕いたり、すりつぶしたりしてつくられました。
砕いて搾った汁は、煮詰めて凝縮させます。
ここで残ったものが粗糖で、甘みはあるものの、茶色い判固形で醱酵はしません。
その後、不純物をろ過して取り除く方法が考え出され、より白くて甘い結晶糖が出来上がりました。
まわりの黒っぽい液体から取り出した結晶は、丸めてやわらかいボール状にします。
最終的には固い砂糖の塊にし、必要に応じてすりつぶしてグラニュー糖にします。
後に糖蜜と呼ばれるようになる粗悪な黒っぽい液体は、結晶化の後の工程で取り除かれました。
当時の技術ではこれをさらに精製して砂糖にすることはできませんでしたが、甘味料やアルコール飲料の原料として使うこともできました。

古い宗教書にも砂糖はたびたび登場し、ブッダゴーサ(5世紀頃)が著した書物には、サトウキビ圧搾機や搾り汁、サトウキビの汁を煮詰める作業に加えて、粗糖や砂糖の塊についても言及されています。
砂糖の歴史の研究者のなかには、この砂糖の塊は固くはなく、タフィーというキャンディのようにやわらかだったと考える人もいますが、一方、これが結晶糖について書かれた最初の文献だと考える人もいます。

製糖の起源はインドにあると仮定すると、それは瞬く間に東南アジアや中国南部へと広がりました。
砂糖は、紀元前221年には中国に輸出されていましたが、東南アジアの製糖についてはそれ以外ほとんど何もわかっていません。
中国の初期の製糖業についてはもう少しくわしいことがわかっていて、仏教の僧がサトウキビと固形の砂糖の製法を伝えたと言われています。


ギリシア人やローマ人は早くからインドを訪れていたので、砂糖の存在は知っていました。
アレクサンダー大王に仕えたネアルコスは、紀元前327年にインダス川の河口からペルシア湾のユーフラテス川河口まで航海し、その著作で「インドのアシはミツバチの助けがなくてもハチミツをつくりだす。その植物は実をつけないが、蜜からはうっろりするような飲み物がつくられる」と伝えています。

ローマ時代には、地中海沿岸地域にわずかながら砂糖が入ってきています。
輸入された砂糖は医療用として使われました。
1世紀の医者で植物学者であるディオスコリデスは、著作に「インドやアラビアフェリックスのアシからは、ハチミツが固まったようなサッカロンと呼ばれるものが採れる」と記し、さらに「見た目は塩のようで、砕けやすい」とも書いています。
インドから輸入されたハチミツの塊のようなものについては、ガレノス、セネカ、プリニウスなども言及していて、現代の研究者の多くは、これが本物の砂糖であったと考えています。
6世紀になると、砂糖はインドから船で東アフリカのソマリアの港に運ばれ、さらに陸路でアレクサンドリアへ運ばれるようになりました。
そこからわずかな量が医者の手に渡って治療に使われたのです。

西暦600年にはメソポタミアでサトウキビが栽培されるようになり、その後すぐに商業生産が始まりました。
ビザンツ帝国の歴史家テオファネスは、ササン朝ペルシアとの戦いで、ヘラクレイオスが622年に得た貴重な戦利品のなかにズッカーの塊があったと記録しています。
641年にはアラブ人がメソポタミアを征服し、サトウキビと製糖法はアラブ人の手によってナイル川やそのデルタ地帯、地中海沿岸東部、東アフリカへと西に向かって広がりました。
サトウキビはそこからさらに地中海の島々に伝わり、やがて北アフリカでも広く栽培されるようになり、682年には南モロッコにまで達しています。

その後、スペイン南部やイタリア南部、トルコの各地でも栽培されるようになりました。


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