トマトの自家採種、採種方法や種の保存について

トマトのイラスト

トマトの自家採種、採種方法や種の保存について


トマトは自然交雑率の低い自殖性作物です。
自家採種においては、異品種と数メートル離す程度で交雑を避けることができます。

花芽分化には日長や温度は影響せず、体内の炭水化物の充実により促進されます。

トマトは完熟果がそのまま採種果を得る栽培なのえ、基本的に一般の青果栽培に準じます。
多収量をめざすのではなく、食味の良い果実を得る栽培をめざします。
各個体の根張りや草勢維持の能力を見分けられるように元肥はごく控えます。
追肥やかん水は適宜行いますが、多くなりすぎないように留意します。
特に大玉トマトにおいては、尻腐れ果や裂果などからの採種では良い種子が得られないので、草勢を抑えた管理を心がけます。

・自家採種に適したトマトの品種
・大玉品種:ポンデローザ、世界一、ブランデーワイン、ジューンピンク、ファースト、アロイ、自生え大玉など
・中玉品種:ピンク中玉、なつのこま、ローマなど
・小玉品種:シュガーランプなど


母本選抜のポイント

・草姿
無支柱型か有支柱型かといった品種固有の草姿を基本として異株がないか確認します。
一般的な有支柱型の大玉品種では、特に初期生育期には1枚1枚の葉形がはっきりしているもの、着果期以降は適度な茂り方で、下葉まで適度に光りが入るような葉形になる株に注目します。
極端な締めづくりをしなくても、茎の太さは適度で、節間も中庸に伸び、心止まりや異常茎を起こさないものが栽培容易なものといえます。

・着果性
生育が良好なことに加え、着果が良いものに注目します。
品種固有の着果のしかたを基本にします。
芯止まり方でない品種では、品種や個体の特徴として、低段花房に成り込みが強く、上段花房は開花しても生理落花してしまうタイプや、各花房に平均して着果するタイプがあります。
一般的には着果数にできるだけ波がないものを選ぶと良いでしょう。

・草勢の推移
施肥を控えた栽培では、採種果の担果負担によって、草勢は低下し、下葉が黄化脱落することがあります。
採種果の負担に負けずに最後まで健全な生育を示す個体を選びます。

・耐病性
品種が特定の病害抵抗性を持つ場合は、その病気は出ません。
抵抗性品種でない場合は、できるだけ病害のない個体からの採種を基本にします。
特にモザイク病と萎ちょう病は種子伝線の危険性があるので、それらの果実から採種しないようにします。


・果実の選抜
トマトは果実の形質が最も重要です。
果形、果色、大きさ、肉質、硬さ、食味、糖度と酸味のバランス、子室数、調理・加工適正、生理障害の出やすさなどを調べ、品種固有の特徴を有している個体を選びます。
1回の調査でなく、栽培期間を通しての安定性や揃い性にも留意します。

トマトの採種方法

・採果
採種果は着果40~50日で完熟します。
通常は完熟させてから採果しますが、裂果して腐るおそれのある場合は完熟前に採果して追熟させます。
秋の気温低下によって、登熟が進まない場合は、降霜前に採果します。

・追熟
完熟した採種果は7~10日間室内で追熟させます。
完熟前に採果した果実は完熟するまで暖かい室内で追熟させます。

・タネ出し、発酵
タネの取り出しは、果実を切り、スプーンなどを用いて子室部のゼリー状物質ごと種子をかき出します。
その際に水が入らないように注意してください。
かき出した種子は透明なポリ袋に入れて24~48時間程度室温で発酵させます。
発酵はトマト自身の持つ酵素や果皮表面にいる酵母菌などによって進み、種子まわりのゼリー状物質が溶けて、洗いやすい状態になります。
裂果した果実から採種せざるを得ない場合や、発酵中に綿毛状や灰色のカビが発生してしまう場合は、EMWなどの乳酸菌資材を発酵させる際に1~2%加えます。
種子まわりのゼリーが溶けたら発酵終了です。

・水洗い
果肉やゼリー状物質の残骸は水に浮き、種子は沈むので容易に種子を分離できます。
すすぎは充分に行います。

・種の乾燥と保存
トマトの種子よりも目の細かい防虫ネットなどを切ったものを用いて水をきり、乾燥させます。
種子は5日程度天日で干し、充分に乾燥させます。
種子が濡れていたり、生乾きの状態で高温になると、著しく発芽を悪くするので、干す場所の日当たりを調整するか、風を当てるなどして、なるべく早く水分を飛ばします。

乾燥したタネは乾燥剤といっしょに密閉容器に入れて冷蔵庫で保存します。
トマトは長命種子なので、低温・乾燥状態を維持すれば5年程度は高い発芽率を保つことができます。
普通の栽培品種では種子休眠はありません。


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